革製品のナチュラルマーク
天然素材である牛革には生きていた時に付いたケガの直り傷や、トラと呼ばれる独特な縦縞の模様が存在します。
これらの生体時の名残は全てナチュラルマークと呼ばれ天然素材であることの何よりの証となります。
ナチュラルマークには一つとして同じ大きさ形のものがなく、は革らしさに加えて製品ごとに表れる個性としてお楽しみいただける要素ですが、現在の日本ではキズや汚れと認識されることが多く、まだまだ受け入れられないのが現状です。
明らかに手触りや見た目、品質に悪影響を及ぼすものは避けて裁断しますが、ナチュラルマークは革の風合いを生かした革には必ず見られるものなので、革の魅力として広く浸透していく事を願います。
様々なナチュラルマーク
ナチュラルマークと呼ばれるものにはいくつか種類がありますので、代表的なものを紹介します。
トラ・・・トラは主にショルダー付近で見られる縦に走ったシワ模様の事で、自然な風合いを好む革好きに特に人気のナチュラルマークです。
血スジ・・・血スジとは革の表面付近に合った血管の事です。
表面近くにあった血管が鞣された後もそのまま残り、一つとして同じ形のものはなく、トラと同様に天然素材ならではの模様です。
バラ傷・・・革に使用される牛は広大な敷地に放牧されるので、その際に脱走防止の柵に引っ掛かったり、牛同士ケンカした際に負い、その傷をバラ傷と呼びます。
染めムラ・・・染めムラは主に革の内部にまで浸透させて繊維に着色する染料染めで多く見られる現象です。
牛革は一枚の革の中でも場所によって繊維の密度や絡まり方が異なるため色の付き方にムラが生じます。
このムラが美しいグラデーションとなり、革の風合いの底上げします。
中にはこんなものも
納品される革の中にはたまにおよそナチュラルマークと言っていいのかわからないナチュラルマークが存在します。
さすがにここまでのものを「これは良いものだ」ということはできませんが、普段大量の革を裁断していても中々見ることが出来ないので捨てずに取っておき、財布にしてみました。
こちらは牛の飼い主が自身の牛であることの証として付けた焼き印です。
革になった時のことをあまり考慮しないので、大きめの焼き印が付くことはしばしばあります。
人工的な模様ですが、牛の自然治癒力で治ったものなので、人工的ながら自然な見た目となっています。
こちらはケンカなのか事故なのか原因は分かりませんが、何か大きなケガを負った際の直り傷だと思われます。
人なら致命傷になりかねない大きな傷跡ですが、これだけの傷を乗り越えた所に牛の力強さを感じます。