ラナンキュラス球根の吸水
今年もラナンキュラスの植え付けの時期がやってきました。
ラナンキュラスは9月頃からほとんどのホームセンターや園芸店で販売される人気の球根植物です。
薄い花びらが何重にも重なり合って咲く姿はゴージャスながら繊細な美しさを併せ持ち、春の代表的な花の一つです。
園芸は時間もお金も手間もかかるので、今年はやめておこうと思ってもラナンキュラスだけはなんだかんだ育てています。
ラナキュラスの吸水
水を含ませた後固く絞ったバーミキュライトに埋めた状態。
このまま約10日間程冷蔵庫でゆっくりと吸水させます。
ラナンキュラスの球根は購入した状態ではカサカサに乾燥しています。
この状態でチューリップなどと同じように植え付けて水やりをしてしまうと球根が一気に吸水します。
そうすると急激な膨張で球根が損傷し、そこから雑菌が侵入し腐敗してしまいます。
なのでラナンキュラスのように購入したときに乾燥している球根はゆっくりと吸水させる必要があります。
やり方は色々あるので自分がやりやすい方法で吸水させるといいと思います。
ただどの方法にしても共通しているのは、ゆっくりと吸水させるということです。
また土を使って吸水させる場合は使い古した土ではなく、無菌で清潔な新しい土を用意した方がより安心だと思います。
吸水前のラナンキュラスと吸水が完了したラナンキュラスを比較しました。たっぷり水を吸って一回り大きくなり貫禄が出ています。
植え付け前にラナンキュラスの球根の状態を確認したところ、今年は一球も腐らせずに吸水出来ました。
この時点で吸水させてから10日間経過しているので、ここまでくればもう腐ることはないと思います。
最初の吸水に成功すれば、後は比較的丈夫な植物ですので、厳寒期の霜などに注意すれば失敗は少ないと思います。
土づくり
花や野菜を育てるときは、必ず単体の用土を買ってきて自分でブレンドした土を使って育てるようにしています。
市販の培養土を使うのも楽で良いですし、プロが作っているものなので間違いないと思いますが、やはり自分で作った土で育てる方が気持ちの入り方が違います。
赤玉土
赤玉土は園芸で最も基本となる大切な用土で水や空気の通り道になる団粒構造を作り出す上で大きな役割を担います。
今年は家庭菜園に使った土をふるいにかけてみじんを取り除いた赤玉土を再利用しています。
使い古した土は壊れて粉状になったものが混ざっているので、そのまま使うと排水性・通気性が悪くなるので、砂になったものと粒を保っているものとを分ける必要があります。
土の量が多くなると、ふるいにかけるのは大変ですが、毎回新品の土を買うと割高なので、再利用できるものはしっかり使っていきます。
雨や猫のフンに注意しながら一週間ほど天日干しします。
腐葉土
赤玉土と並んで園芸の基本となる用土です。有機質を多く含み、通気性・保水性に優れます。
「完熟」としっかり表記されたものを選ぶと安心です。
バーク堆肥
針葉樹や広葉樹の樹皮を発酵させた堆肥です。
土をふかふかにしたり排水性を高める効果があります。
また樹皮が原料となっているので、微生物が分解するのに時間がかかる事から、長くゆっくり効果が持続します。
入れすぎは土壌中の窒素飢餓を引き起こすらししいので、全体の10%を超えないように施します。
バーミキュライト
毎度お世話になっている宝塚市の園芸店「陽春園」さんにて購入したバーミキュライト。
一つ一つが大きくて使いやすいのでお気に入りの商品です。
バーミキュライトは蛭石と呼ばれる鉱物を高温処理して膨張させた土壌改良剤です。
一つの塊のように見えますが、拡大して見てみると、薄い板状のものが何層にも重なって形成されているのが分かります。
この層の間に水や肥料分を蓄えるので、保水性・保肥性に優れています。
また高温で処理されているため無菌で清潔なので、挿し木や種まき用の土にもオススメです。
バーミキュライトも中に細かいものが混ざってあるので、赤玉土同様ふるいに掛けます。
ふるって出た細かいバーミキュライトはラナンキュラスの球根の吸水用に使います。
もみ殻くん炭
もみ殻を炭化させた土壌改良剤です。
通気性・保水性に優れていて、また保温効果もあります。
もみ殻くん炭は強いアルカリ性の性質を持っています。
今回使用する土は今年家庭菜園に使用した古土を使うので、少し酸性に傾いていると思います。
多くの植物は弱酸性の土壌を好むそうなので酸度調整として使用します。
ただし入れすぎは土壌のpH濃度がアルカリ性に傾いてしまうので、全体の1割以上は入れないようにします。
球根の肥料
球根の肥料と書かれていた有機入りの化成肥料。
あまり肥料にこだわる必要はないと思いますが、せっかくなら専用肥料を使ってみます。
バットグアノ
コウモリのふんや微生物、洞窟内の石灰が長い時間をかけて化石化した肥料です。
花の数や色に関わってくるリン酸を多く含む有機肥料です。
ゆっくり長く効果が持続するので、生育期間が長いラナンキュラスとの相性が良いと思います
バットグアノには粒タイプのほかに粉タイプのものも売られていますが、個人的には粒タイプの方が好きです。
骨粉
牛などの動物の骨を蒸してから粉砕した有機質肥料です。
リン成分を多く含み、有機質肥料の中でも特にゆっくり長く効き目が現れます。
リン酸は肥料の過剰施肥による生育障害が出にくく、また赤玉土にはリン酸を捕まえる性質があるらしく、植物が吸収しにくいので多めに入れています。
ハイポニカ液肥
本来は水耕栽培で本領を発揮する液肥のようですが、鉢植えにも使えると書いてあったので今年はこれを使ってみます。
プロが使っているという表記に弱いのです。
HB-101
スギ・ヒノキ・マツ・オオバコのエキスを抽出して精製した活力剤。
ずっと気になっていましたが、少し値段が張るので今まで買うのを躊躇していました。
肥料ではなく植物を元気にする活力剤のようなので、元肥、追肥とは別に使っていきます。
今年のラナンキュラスの土
こちらが完成したラナンキュラスの培養土。
潅水した水がスーッと流れていく排水性の良い土が出来ました。
入っているのは上で紹介した赤玉土、腐葉土、バーク堆肥、もみ殻くん炭、バーミキュライトです。
配合比は6-4-1-1-1(リットル)。
バーク堆肥ともみ殻くんたんは植物や土にとって大切な働きをしますが、入れすぎると逆効果になってしまうので、全体の1割弱程度にしておきました。
バーミキュライトも入れすぎは土が軽くなってしまうので、同じく1割弱程度
そこに肥料として化成肥料、骨粉、バットグアノを混ぜ込んであります。
植え付け完了
2021/10/3(日)、ラナンキュラスの植え付けが完了しました。
まだ少し暑さが残っているので、しばらくは日陰で管理します。
2021/10/8(金)
ラナンキュラスの芽が地上部に出てきました。
この小さな芽が土を割って這い上がってくる様子は何度見ても嬉しくなります。
球根の吸水が上手くいっても芽を出すまでが一つの区切りなので、これでいったんは安心です。
一度芽を出してからは、そこまで難易度の高い花ではないように感じますが、去年は油断して霜に当ててしまったので、注意深く管理していきます。
病害虫ですが、経験で言うと今まで育ててきたラナンキュラスは病気には罹ってきませんでしたが、ハモグリバエの幼虫の被害が毎年酷かったです。
ハモグリバエの幼虫はその名の通り植物の葉を掘り進むようにして食害していく昆虫です。
ハモグリバエが食べ進んだ所には白い筋が走るので発見はさほど難しくありません。一匹二匹なら大したことはありませんが、大量に発生すると見栄えが悪くなりますし、食害に遭った箇所は光合成が出来なくなるので、最悪枯れてしまいます。
ハモグリバエは白い筋の終わりにいるので見つけ次第指で潰します。
その他にはネキリムシ、ヨトウムシ、アブラムシが発生しますが、これらの害虫はハモグリバエも含め浸透移行性の殺虫剤「オルトラン」が有効ですので、定期的に株元に散布しておくと発生を防げます。
あとは若い蕾を食べにくるナメクジ・カタツムリに注意が必要です。
ナメクジ・カタツムリはオルトランでは駆除できないので、別の薬剤を使用する必要があります。
個人的にオススメなのは「スラゴ」という専用駆除剤です。乾燥させて固くした粒状で、パラパラと撒きやすく使いやすい薬剤です。
作用としては摂食による食毒作用で、忌避剤ではなく駆除剤なので敷地内のナメクジ、カタツムリを激減させられます。
スラゴはナメクジ・カタツムリにのみ有効な薬剤です。
専用薬剤だけあってその効果は高く、今まで土に差しておくタイプや、別の駆除剤など色々使ってきましたが、これが一番効きます。
有効成分は自然界に存在する成分なので環境に優しく、作物の株元に撒いても安全で、また収穫の直前まで使えます。
ただし安全といっても薬剤なので、植物の上には残らないように注意します。
ほかの株もどんどん顔を出してきました。もう少し暑さが落ち着いたら日当たりの良いところに移動します。