ラナンキュラスの育て方~球根の吸水から開花まで~
ラナンキュラスといえば、薄い花びらが何重にも重なった花姿が美しい、春を代表する球根植物です。
鮮やかな花色の繊細な花びらが幾重にも重なる万重咲きは、上品かつ煌びやかな魅力を放ちます。
このページでは、球根の吸水から植え付け、開花、そして開花後の管理まで、ラナンキュラスの育て方を解説します。
さまざまな園芸サイトを参考にしながらも、あくまで独自の生育方法なので、ブログ感覚で読んでください。
もし参考になる部分があれば、ぜひ取り入れてみてください。
目次
ラナンキュラスの1年の生育サイクル
ラナンキュラスの球根は、9月頃になると園芸店やホームセンターに並び始めます。
植え付けは10月中に行いますが、暑さの残るうちに植え付けると球根が腐るので、10月に入ったらではなく、10月中がポイントです。
球根を植える前に、約7~10日かけてゆっくりと吸水させるので、うっかり吸水を忘れないように注意します。
冬の間は霜に注意しながら育て、春になると豪華な花を咲かせます。
5〜6月頃に地上部が枯れたら、球根を掘り上げて土を落とし、風通しの良い日陰で乾燥させます。
その後ネットに入れ、次の植え付けまで貯蔵しておきます。
これがラナンキュラスの1年の大まかなサイクルです。
失敗の原因で最も多い?ラナンキュラスの吸水
ラナンキュラスの球根は購入した時点ではカサカサに乾燥しているため、チューリップやユリの球根のように、購入してすぐに植え付けるのはオススメしません。
購入してすぐ植え付け、水を与えてしまうと、【一気に吸水→急激に膨張→組織が損傷(この段階ですでにアウトかも)→ばい菌が侵入→腐敗】と言った流れが起こりやすくなります。
そのためラナンキュラスは植え付ける前にゆっくりと吸水させてあげる必要があります。
やり方は色々あると思いますが、今回は特に失敗が少なかった吸水方法をご紹介します。
バーミキュライトを使った吸水方法
ラナンキュラスの球根は、バーミキュライトを使ってゆっくり吸水させる方法をオススメします。
バーミキュライトは、高温処理した無菌の用土なので、ラナンキュラスの吸水には最適です。
※細かいバーミキュライトを用意できない方は、水ゴケなど吸水性のある清潔なもので代用してください。
やり方
- バーミキュライトを目の細かいふるいにかけ、細かい方を使います。(元々細かいバーミキュライトならそのまま使う。)
- バケツなどに移し、十分に水を含ませた後、しっかりと固く絞ります。
- 球根とバーミキュライトをポリ袋やタッパーに入れ、球根が完全に埋まるようにします。(バーミキュライトは惜しまずたっぷり使います。)
- このまま野菜室で7~10日間保存し、ゆっくり吸水させます。
※絞りが甘いと急激な吸水が起こる危険があるので注意。
無事吸水に成功した球根
ふっくらピチピチの健康的な球根になっていれば吸水成功です。
失敗した球根にはカビが生えたりねちゃねちゃしたり異臭がしたりするので、すぐ分かります。
ラナンキュラスは吸水時に腐らせてしまうのが一番多い失敗なので、ここを乗り切れば後は比較的育てやすい植物です。
※ただし、まだ暑さの残るうちに植え付けてしまうと、吸水が上手くいっても腐ってしまうので、焦らずに吸水は行ってください。
暑さが長引く地域にお住まいの方や、猛暑が続く年などは、10月中旬、下旬の植え付けに合わせて吸水しても大丈夫です。
用土比較:ラナンキュラスの生育に最適な土を選ぶ
今回は、3種類の用土を使用してラナンキュラスの生育や開花にどの用土が最も適しているかを比較します。
ベラボン100%
ヤシの繊維を特殊加工した軽量で清潔な用土です。
吸水後に膨張し、排水時に収縮する性質があるため、鉢内の空気の入れ替えが良く、植物にとって最適な環境が整います。
ベラボン+腐葉土+バーミキュライト
ベラボンに腐葉土とバーミキュライトを加えたブレンドです。
配合はベラボン4:腐葉土4:バーミキュライト1の割合で、ベラボンが赤玉土代わりのイメージです。
オリジナルブレンド培養土
赤玉土4:腐葉土6:バーミキュライト1:バーク堆肥1で作ったオリジナルブレンド。
毎回この配合で土を作っているので、他の用土と比較してどう違うか楽しみです。
※古い土を再利用する場合は、ここに1割ほど、もみ殻くん炭を追加して酸度調整します。
※赤玉土とバーミキュライトは使用する前に目の細かいふるいにかけて、みじんを取り除きます。
※腐葉土(出来ればバーク堆肥も)は「完熟」と明記されているものを選ぶと安心です。
※バーミキュライトは、ニッタイ株式会社のGL(粗粒)が、個人的にはベストです。
植え付け
しっかり水を吸ったらラナンキュラスの植え付けを行います。
鉢は根の張りが良いスリットポットがオススメです。
まだ暑さの残るうちに植え付けると球根が腐るので、暖かい地域では10月の中旬から下旬に植え付けても大丈夫です。
植え付けの深さは2~3センチ。
このとき元肥を土に混ぜ込んでおきます。
浅く植えると球根が不安定になるので注意してください。
3月頃に一番花の蕾が付いた時にもう一度植え替えを行います。
※冬の寒さ対策として腐葉土でマルチングします。
使用する肥料
ラナンキュラスの生育に差が出ないよう、全ての土に同じ肥料を使います。
昔は球根専用肥料を使っていましたが、特にこだわりなく、家にあったお花の肥料を使っています。
液肥は十日に一回程度1000倍に薄めたものを水やり代わりに与えています。
ハモグリバエ対策
ラナンキュラスには、ハモグリバエの幼虫が付くことが多いです。
ハモグリバエの幼虫は、葉っぱを掘り進みながら食害し、食害にあった箇所は光合成が出来なくなり被害が拡大すると株の生育に関わります。
オルトランによる予防
ハモグリバエ対策として、オルトランを定期的に株元に撒くことで幼虫の発生を防げます。
オルトランを使いたくない方
薬を使いたくない場合は、定期的に葉を観察し、幼虫を見つけ次第、指や爪で潰します。
幼虫が進んだ跡には細い筋が残り、その先端にゴマ粒のような幼虫がいるので、見つけるのは簡単です。
ただネキリムシが発生することもあるので、どちらにしてもオルトランは撒いといた方が良いと思います。
月別管理方法
9月
球根が園芸店やホームセンターに並び始めるので、手に入れます。
10月中の植え付けに合わせて、7~10日前に吸水を開始します。
※まだ暑さの残る9月中に植え付けてしまうと、吸水が上手くいっても腐敗しやすくなるので、焦らずに吸水は開始します。
実際暑さが原因で、1シーズンで10球以上腐らせたことがあります。
10月
吸水が完了したら植え付けます。
肥料は予め用土に混ぜ込んでおきます。
11月12月
日当たりの良い所に置いて、水やりや追肥など、普通に管理する。
害虫対策としてオルトランを撒き始めます。
1月2月
腐葉土などでマルチングして寒さ対策します。
霜に当たると葉がやられるので、霜が降りそうな日は家に取り込んだり、軒下に移動したりします。
土が乾きにくくなるので水やりの回数も減らします。
この時期は夜間の一番寒い時間帯に水が残らないよう、朝のうちに水やりをします。
ラナンキュラスの生育適温は昼間15℃~20℃、夜間5℃~10℃とされているので、これを下回るようであれば肥料は控えた方が良いです。
ただ3月頃に一番花の蕾が上がってくると思うので、それに向けて、2月下旬頃に肥料を与えてもいいと思います。
3月
一番花の蕾が上がってきたら、一回り大きい鉢に植え替えて新しい根の生長を促します。
4月5月
どんどん蕾が上がってきて開花する。
地上部が枯れあがるまで養分を吸収するので、肥料を切らさない。
6月
地上部が枯れたら、晴れた日に球根を堀り上げ、土を良く落として風通しの良い日陰で一週間ほど乾燥させます。
7月8月9月
乾燥させたらネットに入れ風通しの良い場所で次のシーズンまで保存。
種からも育てます
今年はラナンキュラスを種からも育てます。
ラナンキュラスの種の発芽適温は10~15℃とかなり低く、20℃を超えたら発芽しないため、難易度は高めです。
また発芽まで2~3週間かかるため根気も必要です。
この時期に普通に種をまいても発芽しない可能性が高いため、低温を維持できる環境を作ります。
撒き方
ラナンキュラスの種を土に撒く前に、湿らせたキッチンペーパーに包んで、冷蔵庫で1日保管します。
その後、育苗ポットに清潔な土を入れ種を一粒ずつ置いていきます。
ラナンキュラスは好光性種子なので、覆土はしないか、しても極薄くにとどめます。
クーラーボックスに入れる
低温を維持するため、保冷剤を入れたクーラーボックスにトレーを入れます。
好光性種子なのでフタをして光を遮らないようにしてください。
保冷性を上げたいなら透明のフタを被せます。
逆に10℃を下回るようなら、保冷剤を減らしたり、タオルを噛ますなどして温度を調整します。
シャワーなどで水やりしてしまうと種が流れてしまうので、霧吹きでやさしく水やりします。
発芽
2~3週間低温を維持できれば、このようにカプセルを割って芽が出てきます。
育成ライト照射
まだ屋外に出せるような気温じゃないので、室内で管理しますが、室内では生育に必要な光が得られないので、植物育成用のLEDライトで育てます。
怪獣ビームHIGH
植物育成用ライトには、kaiju plantの怪獣ビームHIGHを使用します。
口金のサイズはE26です。
クリップやスタンドの付いたE26ソケットを一緒に買うとすぐに使えます。
発芽適温の大切さ
上の写真の種はクーラーボックスに入れて、発芽適温を維持したものです。
下の写真は、クーラーボックスに入らなかったので、保冷剤を下に敷いただけの種です。
上の写真の種の多くは無事発芽しましたが、下の種の発芽はまばらです。
種の発芽にはしっかりと低温を維持することが大切だということがよくわかりました。
種からの育て方まとめ
- 発芽適温は10~15℃と低め
- 発芽まで2~3週間かかる
- 育苗ポットに清潔な土を入れ、一粒ずつ種を置いていく
- 好光性種子なので、覆土はしないか、極薄く覆土する
- 保冷剤を入れたクーラーボックスに入れて低温を維持する
(保冷剤は朝晩2回、出来れば昼にも交換する) - 水やりは霧吹きでやさしく
- 上手く低温が維持できればカプセルを割って芽が出てくる
- 外に出せる気温(昼間15~20℃)になるまでは涼しい室内で植物用LEDライトを当てながら育てる
ラナンキュラス生育記録
ここでは、現在育てているラナンキュラスの生育状況を随時お伝えしていきます。 球根の吸水から植え付け、生育の過程や開花までをリアルタイムで更新していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
9月22日
まだ早い気がしますが、ラナンキュラスの球根を植え付けました。
芽が出てきました
植え付けから数日で芽が出てきました。
10/1
順調に成長しています。
しっかり根が回ったら、一回り大きいポットに植え替えます。
10/1 やはり早かったようです。3球腐りました
3つのポットからいつまでも芽が出てこないので、掘り起こしてみたら、カビが生えて腐敗していました。
吸水は上手くいっていたので、植え付けが早かったことが原因だと思われます。
このように、暑さの残るうちに植え付けてしまうと、本当に腐ります。
皆さんは焦らず、暑さが落ち着いてから植え付けてください。
クーラーボックスから大きな発泡スチロールに入れ替えました。
次からはカットしなくても72穴育苗ポットが入ります。
10/12
種から育てているラナンキュラスの本葉が上がってきました。
これから定植まで週一で2000倍の液肥をスプレーします。
10/22(火)
球根を全てスリット鉢に変更しました。